「感じること」と「考えること」

今日は少し心理学のお話をしましょう。

心理学を勉強すると相手の心が読めるようになる?なんて思っている人はいませんよね?!私が思うに、心理学を勉強するにつれて心は「わからない」っということが「わかる」ようになってきます。

今回のテーマは、「感じること」と「考えること」のちがいについてです。

まず、「感じる」ことと「考える」こと、どちらも脳の活動によるものです。その意味においてはどちらもちがいはありません。

少し、脳の働きについてお話をしましょう。

脳では、大脳の新皮質で判断、論理的な思考などの高度な知能活動を司ります。新皮質は、中心溝を境に前方と後方の大きく2つの部分に分けられます。

後方には体性感覚野、視覚野、聴覚野という感覚情報を「感覚」する場所があり、その他の場所は大きく、後連合野と呼ばれます。感覚野で感覚された情報がどういうものかを、より具体的に「知覚」する働きを担っています。

後連合野がさらに、感覚情報の解析を進めると「認知」となります。知覚や認知は、ここに蓄えられている記憶との照合により行われます。

ここまで情報解析が進むと、認知された情報は、前方の前連合野に送られます。前連合野では送られてきた認知情報をもとに、ここからどうしようかと思考し、行動に関する意思決定をします。必要なら運動野を介し、随意運動を起こさせます。

つまり、新資質は、後方部分に感覚情報が入力され、解析し、その結果が前方部分に送られて感覚情報に対処するための出力を行っています。

古皮質・旧皮質は食欲、性欲・本能に基づいた感情などを司ります。生命活動の維持など、意思とは関係なく体をコントロールしています。

したがって…

「感じる」ということは脳への入力情報(Input)や人としての本能的な活動であり、

「考える」とは脳からの出力情報(Output)です。

うつ病は「心の病」だと考えがちですが、実際は「脳の病」です。セニトリンという神経伝達物質が十分に働いていないことが原因だと考えられています。

心とは、形のないものです。確かにここに存在しているけれど、あなたの瞳に映ることはありません。そんな不確かなものを研究するのが、心理学です。

人は、悲しいと涙します。嬉しいと涙します。心が大きく揺さぶられると涙します。「涙を流す」行動を見ても、それだけでは心の動きまではわかりません。

脳の研究が進めば心理学が必要なくなるという訳ではありません。人のこころの働きを知るためには、脳科学、神経科学、心理学などすべての発展が不可避です。

例えば、同じものを見たとして、脳内の活動場所は同じですが、どのように感じ、考えているかは人それぞれです。

すべての人が同じものを見て同じように感じている訳ではありませんから。

以上、「感じること」と「考えること」についてのお話でした。